頑張れ僕らの庭球戦隊

■ブルーの場合

「はい、これ」
「何ですか？」
「今日は２月１４日です」
「ああ…。ありがとうございます」
「どういたしまして。ね、空けてみて？」
「？今、ですか？」
「うんそう（にこにこ）」
「……？」

（がさごそ）

「…いまり先輩」
「はい？」
「それでこれは何の嫌がらせですか（キノコの山って…！）」
「やっだなーそんなんじゃないわよ？（にこにこ）」
「……（絶対嘘だ…）」
「……（嫌がってる嫌がってる（笑））」


「ま、それはさておき。はい」
「え？」
「それはおまけ。こっちがメインなの」
「……あけてもいいですか？」
「どうぞー」

（がさごそ）

「（あ、普通だ）」
「いちごにチョコかけただけなんだけどね。美味しいよ。チョコも甘さ控えめにしてみました！」
「…ありがとうございます」
「あ、ちなみに本命だから！そこんとこひとつ宜しく！」
「（本命って…）……あの、」
「ん？」
「――…し………いえ、なんでもありません。頂きます。（何を訊くつもりなんだか、俺は）」
「そ？ あ、早めに食べてね。いちご悪くなっちゃうから」
「はい」




■レッドの場合

「なーなー西条ちゃん、今日何の日かしっとるか？」
「ああ、そうそう。そうなんだよ。チョタのやつまだ来ないのかなぁ。折角プレゼント用意したのに」
「いや、そうやなくて…（ってか、鳳のプレゼントなんぞ用意せんでもえぇのに…）」
「…何よ」
「せやからな、ほら、あるやん？」
「何も無いです」
「アハハ振られてやんの」
「黙っとけ桐生は」
「つぅかさー忍足去年チョコ嫌いとか言ってなかったか？今川焼きの方が美味いやん、て」
「…そ、そんなことゆうたか？（く、また余計なことを…！）」
「ゆうた」
「……お前俺に何の恨みがあんねん」
「あるといえばあるし無いと言えば無い。つか、ほら、みっちゃん。睨んでましてよ」
「きーさんこれ食う？」
「食うーｖ」
「ちょい待て！それ俺んやろ！？」
「誰も忍足のだなんて言ってないわよ。大体、チョコ嫌いなんでしょ？」
「せ、せやけど！それとこれとは話が違うやんか！」
「違いません」
「違うて！それに折角用意したん勿体無いやろ…！」
「いいわよ、どうせ既製品だし。…いまりみたいに、手作りじゃないし」
「そんなん、西条がくれたら何でもえぇねん。な？ほら。くれへんか？」
「じゃあ」
「？」
「じゃんけんしよう」
「は？」
「じゃーんけーん」
「「ぽん！」」
「お、俺の勝ちやな……って、そんなことしとる場合やなくてな？」
「はい」
「へ？」
「ご褒美」
「え？」
「だから、ご褒美。それ以上意味は無いんだからね」
「お、おーきに！」（嬉しそう）

「（ホント素直じゃないなぁ、みっちゃんは）（傍観中）」




■イエロの場合

「おい」
「あ、跡部！良いところに！」
「あぁ？」
「はいこれー。バレンタインおめでとー。マネのみんなからでっす！」
「（おめでとうって違うだろ）（いやそれよりも）…お前」
「いいでしょ！もうね、チロル箱買いしちゃった！」
「いや、そうじゃなくてだな」
「え、何、問題あり？だって２００人分なんて用意してらんないじゃん」
「それは別にいい。そうじゃなくてお前、」
「？」
「まさかこんだけ、ってこたぁ無いだろーな」
「あ、あるある！ちょっと待ってて」
「……（あんのかよ…）」（←予想外）

「はい！（超笑顔）」
「…あぁ」
「空けてみて空けてみて！」
「…ンだよ」

（がさごそ）

「……」
「どうよ！すげぇ良いっしょ！」
「……」
「私さーもうコレ見たときコレしかない！って思ったんだよね！むしろ私が欲しいくらいだよ！」
「……何だこれは」
「え、跡部知らない？アンパンマン。僕の顔をお食べよ、と自己犠牲心の強い愛と勇気だけがお友達のヒーローだよ」
「（何だその説明は）（…つぅか）いやそうじゃなくて。何のつもりだ？」
「いや何のつもりも何も。良いじゃんこれ。美味しいよ。チョコ無くなってもさー、この棒のとこ延々と噛んでたんだよ昔。懐かしー！あとねー、ミッキーとー、ピカチュウも入ってんの。ピカチュウは結構レアでさー、近所にはないんだよね！」
「……」
「…ひょっとしてチョコ嫌いだった？」
「…そんなこたぁ、ねぇけど」（←呆れてる）
「要らなかったらいつでも返品可だから！
　じゃあ私、他の子にもチロル渡してくんねー！」

（イエロ退場）

「……どうしろっつぅんだよ」
「まぁまぁ」
「居たのか十環」
「居ました」
「ちっ…」
「…一応、フォローしとくとさ。それでもきーさん一時間ぐらいチョコのコーナーで悩んでたんだから。まぁ、そこでそうなっちゃうのがきーさんらしいけどさ(笑)」
「…そうかよ」
「そうです。食べるんでしょ？」
「さぁな」
「それは食べるってことだね（笑顔）」
「……（ちっ…）」